シロ

下野北部、三依地区に引っ越してからかれこれ十数年となる。
それ以前に、隣の春さん宅では犬を飼っている。
この犬、雑種で骨が太く体重30キロでかなりでかい。
お手とお座り、待てしかできないが、夜半に活動する獣、サル、鹿、イノシシ、タヌキ、キツネを追っ払ってくれる。
なんといっても、大食が得意だ。
バケツ一杯の餌を数分でたい上げる。
食事は1日1回、午後4時ごろやる。
イヌには腹時計なるものがあって、4時を過ぎてエサやりを怠れば、ワンワンと吠えて催促する。
長いこと釣り堀で働いたことのある春さんの日課は、イワナの塩焼きの残りをもらってイヌに与えていた。
その功があってイヌはたくましく育った。
得意技をくわえれば、タヌキを捕らえられる。
獣をとっ捕まえたら、自慢げに見せにやってくる。
当然ながら、イヌはタヌキをがりがりかじって食べてしまう。
自分も作りすぎて飽きてしまった煮物、魚の骨、期限切れの食料品を与えていた。
この犬はお利口で、食べ物をやるとき人が食べてうまいものなら、尾っぽをさかんに動かして催促する。
バケツにエサをあければブルブル震える動作が面白い。まてをやればよだれを流す。
良しといえばあっという間に平らげてしまう。
イヌの名は知らない。
そこで白色犬だから、シロとなずける。
シロと呼べばワンと答える。


シロは春さんの甥っ子が小学生のころ、学校の前に捨てられていた犬だ。
都会では飼えないので、春さんに飼ってもらうことが決まった。
なんとそれから25年、シロは生き延びた。

12月6日、シロは消えた。
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首輪を外してシロはいなくなった。
人間でいえばシロの年齢は120歳。
シロは元の生まれたままの姿に戻り、死に場所へ向かったのだ。
その際、エサを与えてくれた、春さんに対して午前4時ごろけたたましいなき声を発し、最後のご奉公を果たしてから山へ向かったのだろう。
シロの最期は立派だった。
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シロの家

もう一つ褒めてやることがある。
氷点下15度になる暴風雪のなか、丸まって雪の上で寝ていた。雨の中でもしかり。
そのたくましいシロはこの世にはいない。
死んでから2日たった。
おそらく山の中でシロの死体は他の獣に食われててしまった。
それが山のおきてだ。
シロの死はやはり悲しくて切ない。


自分も動物だから死はやってくる。
その時、うろたえることなく死を迎えられるのだろうか、、、、。







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by minoru-eco-kinoko | 2016-12-08 16:01 | しがらみ